愛は、つらぬく主義につき。 ~2
気怠い微睡みから意識が醒めていき、ようやく瞼を持ち上げれば、目の前に深い寝息を立ててる真の横顔があった。

ぶつ切りの記憶のどこで寝落ちしたのかも、どう終わったのかさえあやふや。カーテンの隙間から覗く暗がりが、今はまだ夜中だってコトくらいしか。

素肌にまんべんなく色んなモノが貼りついてる感覚と、腰の辺りはなんだかシーツも湿ってる。・・・喉も体も次は使いモノになんないかも・・・。ゆるゆると呼吸を逃して。仄かなダウンライトに浮かぶ整った顔立ちをぼんやり見つめる。

激情のままにあたしを抱いた真。

いつもどこかしら冷静で、遊んで追い詰める余裕すらある男が、嫉妬を剥き出しにあたしを壊そうとした。『オマエハ、オレノモノ』。無数の針で細胞っていう細胞に刻まれた。

生まれたときから死ぬときまで、あたしは真だけのものだよ・・・?

触れたくなって伸ばした指先を躊躇い、なんとなく。気持ちごと綺麗に洗い流したくなって、手足に言うことを聞かせながらベッドから自分を引き摺り下ろす。真は泥のように眠ってる、きっと夢を見るのも忘れて。

いつもは開けっぱなしにした洗面所に通じるドアを閉じると、バスルームで頭から熱めのシャワーを浴びた。
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