愛は、つらぬく主義につき。 ~2
結婚式騒動も落ち着いて、9月から仁兄のコンサルティング会社『クレヴァONE』に再就職したあたし。そろそろ2ヶ月が経とうとしてるわけなんだけど。
表向きは普通の会社だから。仁兄・・・ううん、代表取締役社長・木崎仁が櫻秀会・一ツ橋組本家の次期若頭かつ木崎組の組長だなんて、社員は知るハズないんだしね? 知ってるのはあたしと幹部・・・じゃなくて課長以上の役職の人くらい。
もちろん本家の娘だからって特別扱いされるつもりは毛頭なかったし、ふつうに総務でもなんでも配属してくれたらよかったの。よかったのに! 入社当日から仁兄と同伴で出勤する羽目になった挙げ句、『宮子』呼ばわりされているあたしを他の社員はとうぜん腫れモノ扱い。
「義妹だって訂正しようにもね? あーんなベタ甘なのを“兄”って訂正する方が、よっぽどイタそうなんだもん!」
「妹愛が炸裂しちゃってるものねぇ、近頃のジン君」
「仕事も社長室の整理整頓とお世話係みたいなモンだし。こんなのでお給料もらってるのが悪いくらい」
眉を下げて苦笑いすると。ユキちゃんが思い付いたように軽く掌を合わせて打つ。
「だったら空いてる時間になにか資格のおべんきょ、したらいいじゃない? マコトちゃんの役に立ちそうなこととかイロイロあるでしょ?」
実はそれも考えてた。でも、プライベートを職場に持ち込むっていうのはやっぱり気が引けて。
「そっちは帰ってきてからとか、ぼちぼちやってるんだけどね-」
マドラーでロンググラスの中をぐるり。ぶつかり合って氷もぐるり。
「仁兄の会社、最近は不動産投資に力入れてるんだって。だからね、そーいうのを勉強しよっかなって思いはじめてるトコ。畑違いで全く知識ないんだもん、あたし」
表向きは普通の会社だから。仁兄・・・ううん、代表取締役社長・木崎仁が櫻秀会・一ツ橋組本家の次期若頭かつ木崎組の組長だなんて、社員は知るハズないんだしね? 知ってるのはあたしと幹部・・・じゃなくて課長以上の役職の人くらい。
もちろん本家の娘だからって特別扱いされるつもりは毛頭なかったし、ふつうに総務でもなんでも配属してくれたらよかったの。よかったのに! 入社当日から仁兄と同伴で出勤する羽目になった挙げ句、『宮子』呼ばわりされているあたしを他の社員はとうぜん腫れモノ扱い。
「義妹だって訂正しようにもね? あーんなベタ甘なのを“兄”って訂正する方が、よっぽどイタそうなんだもん!」
「妹愛が炸裂しちゃってるものねぇ、近頃のジン君」
「仕事も社長室の整理整頓とお世話係みたいなモンだし。こんなのでお給料もらってるのが悪いくらい」
眉を下げて苦笑いすると。ユキちゃんが思い付いたように軽く掌を合わせて打つ。
「だったら空いてる時間になにか資格のおべんきょ、したらいいじゃない? マコトちゃんの役に立ちそうなこととかイロイロあるでしょ?」
実はそれも考えてた。でも、プライベートを職場に持ち込むっていうのはやっぱり気が引けて。
「そっちは帰ってきてからとか、ぼちぼちやってるんだけどね-」
マドラーでロンググラスの中をぐるり。ぶつかり合って氷もぐるり。
「仁兄の会社、最近は不動産投資に力入れてるんだって。だからね、そーいうのを勉強しよっかなって思いはじめてるトコ。畑違いで全く知識ないんだもん、あたし」