愛は、つらぬく主義につき。 ~2
陽が落ちてから事務所に詰めてる全員に年越しそばを振る舞うと、身内(かぞく)はコタツで温まりながら本宅の広間で年越し。あたしと遊佐以外みんな、仁兄まで揃って和服。

「こうしてまた揃って年が越せて何よりだ、なぁ宮子ぉ」

すっかり上機嫌なおじいちゃん。

「真さんとの式も進めなくてはいけませんからね。哲司さんや瑤子さんともきちんと相談してお決めなさい」

「はい、おばあちゃん」

背筋を張っていつでも毅然としてるおばあちゃんの口許が緩んで見えた。
お父さんは黙ってお猪口を傾けてるだけ。でも喜んでるって分かっちゃうのよね娘だし。

「宮子ちゃんは打ち掛けもすごく似合うと思うの。神前式はどうかしら?」

瑤子ママも自分のことみたいに目を輝かせてる。

「お嬢なら何でも似合いでしょう」

色気たっぷりの横目をこっちに流した哲っちゃんが淡く口角を上げた。
隣の遊佐と目を見交わすとコタツ布団に隠れて手を繋ぎ。ふたりで小さく笑い合った。


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