愛は、つらぬく主義につき。 ~2
普段だったら花を贈ろうなんて思い付かなかったかもしれない。母の日がなかったら。

今年も愛と感謝を込めておばあちゃんと瑤子ママに、カーネーションと旬の人気スイーツを手渡したとき。すとんって答えが落ちてきた。

花は儚いし残らない。でも伝えたいコトもいっぺんに伝えてくれる気がして。『ありがとう』を『だいすき』を、『ごめんなさい』を『これからもよろしく』を。

恩返しだって、もちろんこれから。きっとそれも伝わってる。ユキちゃんはそんな微笑みをくれた。



「式は明後日ねぇ。前祝いで奢るわ」

車をパーキングに置きに行った榊が戻ったところで4人で乾杯。あたしは久しぶりの空気につい嬉しくなって、いつにも増してお喋り。

「でね?、どうせヒマなんだから家政婦に来いって、仁兄がしつこいから行こーかなって」

「お手当はどのくらい?」

「現物支給と歩合制って言ってたけど現物ってなんだろ~」

変な想像が浮かんだら、可笑しくなって一人でケラケラ笑う。

「ジン君もそろそろ妹離れして身を固めた方がいいわねー」

「オヤジがそのうち見合いでもさせんじゃねーの?」

「ウソ?!」

ユキちゃんと真の会話に思わず素っ頓狂な声が飛び出た。
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