愛は、つらぬく主義につき。 ~2
8-2
結婚式当日は綿菓子みたいな雲が湧いた、まずまずの晴れ空。雨の心配がないだけでも上上な日和。

式場(むこう)で着替えるあたしと真以外はきっちり全員が着物かスーツの正装で揃い、車3台と前後の護衛2台の計5台で実家を出発。裏門の手前にずらりと整列した真っ黒い一団に粛粛と見送られた。ネクタイまで黒だと別の式に思えてしょうがなかった。 

昨晩はさすがに真も手加減してくれたし、そこそこ早めに眠らせてもらえた。・・・宣言どおりキスマークはちっとも遠慮してくれなかったけど。ドレス着るのに、きっとスタイリストさんは見て見ないフリしてくれるんだろうけど! ああ・・・恥ずかしすぎる・・・・・・。






いくつか試着して真もあたしもひと目で気に入ったのは、Aラインでフィッシュテールになってるシルクオーガンジーのドレス。袖と胸元は花模様のレースを重ねてあって清楚で上品。

前裾がミモレ丈になってるから屈んだり立ったりするのも苦にならないし、車椅子の車輪に巻き込む心配もない。まるで自分の為にあつらえられたみたいな出会いだった。

ヘアスタイルもシンプルに、前髪を斜めに流して片方のサイドだけ耳を見せ。そこにレースのボンネをあしらう。

メイクはナチュラルっぽく、でもぼやけすぎない印象で仕上がると。その出来映えに瑤子ママとおばあちゃんが目頭を押さえてる中、別室で支度を済ませた真が榊に伴われ、車椅子でブライズルームに姿を見せた。
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