愛は、つらぬく主義につき。 ~2
「・・・ん。さすがオレの宮子」

(しと)やかに立ってるあたしを見上げて目を細め、綺麗に笑ってみせた真。

「世界一の花嫁」

肘上までのフィンガーレスグローブをはめた左手を取ると、気障でもなく薬指に口付けを落とす。その仕草に胸がきゅうと鳴き、いやでも顔が火照った。

「新郎様も本当にイケメンでらして、こんなにお似合いのご夫婦は滅多にいらっしゃらないですよ」

感嘆の溜息を漏らしながら、30代半ばくらいのスタイリストさんが「お世辞じゃないです」と力説してくれる。

真の装いはキャメルホワイトのモーニングコートに、シャンパンゴールドのベスト。ラペルに合わせてアスコットタイもブラウン。後ろに流し気味のプラチナアッシュの髪色ともマッチして、柔らかいけど洗練された雰囲気。魂を抜かれたみたいに、ぼうっと見惚れる。

「知ってたけど、自分のダンナがイイ男すぎてどうしよう・・・ママ」

「自分の息子ながら、産んでよかったわ宮子ちゃん」

手を取り、母娘ふたりで深々と頷き合う。
< 214 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop