愛は、つらぬく主義につき。 ~2
「オフクロ、それって褒めてんの?」

不本意そうな真に思わず吹き出し、その後ろに立ってるガタイのいい男と目が合った。

もしかしていつもの黒服で来るかって心配してたんだけど、チャコールグレーのスーツにブルーのシャツ、シルバーのネクタイってそれらしい格好をしてきたからほぼ満点。ニッコリ笑って催促する。

「榊はなんか感想ないの?」

「・・・・・・似合ってる」

「ほかは?」

「・・・綺麗だな」

低いトーンでぼそっと。
よし。お世辞はゼッタイ言わないもんね、200点満点!

「よかったぁ。みんなにも見てもらう自信ついたわ、ありがと!」

つれなく逸らされた視線は照れ隠し。ついでに思ったことをそのまま付け足す。

「榊も3割増し男前に見えるよ? そういう格好で買い物もつき合ってくれればいいのに」

しねぇよ。・・・って間違いなく返ってくるのを予想してた。

「・・・・・・たまにだったらな」

「へ?」

ぶっきら棒は同じで、天から落っこちてきたみたいな予想外の返答に目を丸くする。

文句ねぇだろって横目に睨まれつつ。榊なりのお祝儀をありがたく受け取ったあたしだった。




< 215 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop