愛は、つらぬく主義につき。 ~2
伝えたいことは切りがないくらいあった。紗江がいなかったら、きっと今ここにはいなかった。きっとあのまま仁兄と結婚して、一生悔やみながら真を愛してた。いつか。生きる意味すら無くしてた。

ほんとにね。頑張れたのも、諦めるのをやめたのも紗江のおかげなんだよ。待たせてごめんね。やっと見せられたね、あたしのドレス姿。そう言えば初恋のダーリンに会いたがってたっけ。仁兄にも自慢の親友だって紹介するよ。織江さんもユキちゃんも紗江に会うの楽しみだって。

言おうとしても出てこない、込み上げてきたもので喉が塞がって。代わりに目から溢れ出す。

「宮子、美人が台無しになったらメイクさんが泣く」

真が横からあたしの目許にハンカチを当て、笑った気配。

「紗江もオレまで泣かせんのヤメテ」

思わない続きに、受け取ったハンカチを手に隣りを振り向くと、照れ隠しか赤い目で不敵そうに。

「遊佐クン泣かせられたんだったら、思い残すことないわよ」

自分もハンカチで涙の跡を押さえながら、紗江がいつもの調子で言い返す。

「一生わすれないでよ?、あたしに泣かされたこと」

「泣かされたコトも紗江の気持ちも、死ぬまで忘れねーよ」

それから目を見交わして、ふっと笑い合った二人を。あたしも絶対に忘れない。・・・胸の中で切なく呟いた。
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