愛は、つらぬく主義につき。 ~2
織江さん、由里子さん、紗江を引き合わせ、そろそろチャペルに移動する時間・・・って頃合いになってやっと最後の待ち人が現れる。

「宮子お嬢」

「ユキちゃんっ」

思わず椅子から立ち上がったあたしを見下ろしてやんわり笑ったユキちゃんは。ブルーグレーのスーツに黒のジレ、パールピンクのネクタイっていう想像以上に男前なスタイルで。髪もいつもはふんわりスタイリングしてるのを、ワックスで毛先をきちんと撫でつけてる。

スーツ着てるのはもちろん初めて見たけど、もうなんだろう、相澤さんとは違う種類で裏の人間ぽさが欠片もない。ハイソサエティの香りすらする。

「なんでそんなにカッコいいの~~っっ、どうしよう、永久保存版で飾っときたーい!」

「そんなに褒めると真が妬くよ」

はしゃぐあたしの顎の下に指をかけて上向かせ、淡く笑んだその仕草に心臓のド真ん中を撃ち抜かれたカンジ。

「おめでとう。こんなに幸せそうなお嬢の顔が見られるなんて嬉しいね」

「いつもユキちゃんが助けてくれたから幸せになれたの・・・!」

顔が歪む。泣きそうになる。

「ふたりが努力した結果だよ、胸張って誇ればいい」

「ユキ姉」

隣から真の少し大人びた声。

「これからも遠慮なく面倒かけるけどゴメン」

「そういつまでも甘やかしてはやらないけどね」

にっこり笑ったユキちゃんは、言ってからあたしの頬をそっと撫で。哲っちゃんや相澤さん達が寛いでる長ソファの方へとおもむろに踵を返した。
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