愛は、つらぬく主義につき。 ~2
死が二人を別つまで愛すると誓うか。真に厳かに問う黒い祭服の神父さま。
入場する前、車椅子の代わりに手渡されたブーケを手に、前を向き『誓います』の答えを待って耳を傾ける。

「宮子」

静寂の中、呼ばれた方に顔を振り向けた。

ずっと一緒に育ってきて。変わってないようでいつの間にか先にオトナになってた男が、あたしを黙って見つめてた。

子供の頃からの約束を果たして。あたしの夫になってくれた男が静かにこっちを見つめてた。

「・・・オレはオマエを守るために生きて、いつか死んでも宮子のそばにいる。“死が二人を別つまで”なんかねーよ、・・・生まれ変わっても」

言い切って(うえ)を仰ぐ。そして。

「どんだけ泣かせても、この世でいちばん幸せにしたい女は宮子だけだ。臼井真の名にかけてそれだけは裏切らない。オマエに誓うよ」

静かに宣誓した。息を呑むほど、たおやかな微笑みを浮かべて。
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