愛は、つらぬく主義につき。 ~2
「真」

なに?って目がすごく優しい。
あんまり優しくて。それだけで鼻の奥がつんとする。目頭が熱くなって涙が滲んでくる。声も小さく震えてる。

「あたしも誓うよ・・・っ」

「ん」

込み上げそうになるものを堪え、ぐっと飲み込んで。

「・・・真には他人(ひと)より重いものを背負わせてる。半分以上あたしの為だって分かってる。だからこれからは、臼井宮子にできる方法であんたを守ってみせるから。それで真を二度と泣かせない。・・・約束する」

そこまで言うと真の片手が伸びてきて、あたしの頬を包み込む。
あたしも。上から手を重ね、そっと顔を摺り寄せた。

「子供と孫に囲まれて、最期まであたしを『愛してる』って言わせるまで絶対に先に逝かない、そのあとで真を追いかけてくから。信じて待っててよ・・・っ」

「・・・いーよ。オマエがそうしたいなら」

零れる涙をキスで拭われながら。

「ちゃんと迎えに行くからあの世でもオレの嫁になって、・・・宮子」

今までで一番、甘やかで強かな声を聞いた気がした。
堪えてたものが一気に溢れそうになって、堰を切る前に唇が塞がれてた。




たぶん・・・かなり濃厚な誓いの口付けを、神父さんの決め科白をすっ飛ばして披露し。我に返ったときの恥ずかしさったらなかったんだけども! まるで動じてないダンナに釣られて指輪の交換もつつがなく。

祝福の声と、これもサプライズで子供達の手から淡いピンクの花びらが降らされる中、バージンロードをゆっくり踏みしめる。余韻を噛みしめて。これ以上ない幸せで満たされて。

開かれた扉の前で向き直ると、参列してくれたみんなに感謝を込めそろってお辞儀をした。扉が閉まってから顔を見合わせ、どっちからともなくキスを交わす。『ありがとう』と(ねぎら)いの。

「素敵な誓いの言葉に感動してしまいました」

笑顔で車椅子を用意してくれたプランナーさんの目も本当に少し赤かった。

「私の目に狂いはないので、お二人は間違いなく幸せになりますよ!」

プロのお墨付きをもらい真はちょっと不敵そうに、あたしははにかみ気味に。ハチミツ色の笑みを満開に咲かせた。



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