愛は、つらぬく主義につき。 ~2
ウェディングケーキ入刀もキャンドルサービスも、新郎新婦のアルバムを映像で流したりも花束贈呈もない、シンプルな結婚式だけど。大好きな人達に囲まれてこんなに温かく祝福してもらえる幸せなんて、ただの豪華な式じゃ叶わないと思う。負け惜しみじゃなく。

その場で(くつろ)いでもらいながら、ふたり並んでみんなの前に立った。松葉杖を支えに背筋を張り、柔らかい空気でお礼の挨拶を始めた真をあたしはそっと見上げてる。

「・・・オレを甘やかせとは言わないんで。宮子と一緒になった以上、その覚悟で精進させてもらいます。とくに紗江とオリエさんとユリさんには、これからも宮子をよろしく頼みます。オレのノロケ付きでもカンベンしてやってください」

「アラ、ご馳走さま!」

上機嫌な由里子さんの陽気な合いの手も入った。

「今日は一人欠けても、宮子のこんな幸せそうな顔は見られなかった。志信さんも相澤代理も、藤代さんもユキ姉も、・・・本当にありがとうございました。いずれオレから返させてもらいます」

男らしく静かに頭を下げた真。

みんなの拍手と。大したことじゃねーよ、ってどっからか聞こえた気がして。愛おしそうに笑み崩した顔がこっちを向いた途端、涙栓があっという間に開ききった。

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