愛は、つらぬく主義につき。 ~2
「ちょっとお手洗い行ってきていい?」
祝いの波が途切れたのを見計らい、あいつが真に耳打ちしたのが聞こえた。
挨拶に来られるたび小ぶりな杯に酒を注がれ、飲み干す量が大したことないとは言え、さすがの真もそろそろ酔いが回る頃か。
「俊哉ー、宮子をたのむー」
妙に語尾が伸びてるのもその証拠だ。
立ち上がった臼井について広間を出て、廊下を左へ。離れにも当然トイレはあるが方向が違った。そのまま黙ってると、奥の母屋に通じる入り口に向かう。立っていた二人の警備係を臼井は笑顔で労い、身内にしか渡されてないカードキーを使って母屋へ戻った。
「着物って時間かかるんだもん」
苦笑いして見せながら、ゲストハウスじゃ落ち着かない、とそんな意味らしかった。
トイレの前で待つこともないだろう。間取りは把握している。万が一の侵入経路を頭の中で想定しつつ、あいつの安全が確保できる距離を計算しながら、広縁のガラス越しに周囲をうかがう。特に母屋のセキュリティーは万全で、侵入者が入り込む余地はないだろうが過信はしない。耳をそばだて、全神経を集中させる。これも身に付いた習性だ。
祝いの波が途切れたのを見計らい、あいつが真に耳打ちしたのが聞こえた。
挨拶に来られるたび小ぶりな杯に酒を注がれ、飲み干す量が大したことないとは言え、さすがの真もそろそろ酔いが回る頃か。
「俊哉ー、宮子をたのむー」
妙に語尾が伸びてるのもその証拠だ。
立ち上がった臼井について広間を出て、廊下を左へ。離れにも当然トイレはあるが方向が違った。そのまま黙ってると、奥の母屋に通じる入り口に向かう。立っていた二人の警備係を臼井は笑顔で労い、身内にしか渡されてないカードキーを使って母屋へ戻った。
「着物って時間かかるんだもん」
苦笑いして見せながら、ゲストハウスじゃ落ち着かない、とそんな意味らしかった。
トイレの前で待つこともないだろう。間取りは把握している。万が一の侵入経路を頭の中で想定しつつ、あいつの安全が確保できる距離を計算しながら、広縁のガラス越しに周囲をうかがう。特に母屋のセキュリティーは万全で、侵入者が入り込む余地はないだろうが過信はしない。耳をそばだて、全神経を集中させる。これも身に付いた習性だ。