愛は、つらぬく主義につき。 ~2
子供と聞いて、ああそうかと普通に納得した。一緒になれば家族ってヤツになるのは当たり前だ。俺には叶わねぇだけの話で。

「真には内緒ね?、違うかもしれないし。でもどうしよう検査薬買ったほうがいいかなぁ? もうちょっと待ったほうがいいかなぁ」

期待を溢れさせたり、悩ましかったりと表情が(せわ)しないお前。

「もしそうだったら、あっ、来月の新婚旅行ってムリ?! 真が連れてってくんない気がする~~っ」

「落ち着けドアホ」

想像がどこまで先走ってるのを一喝。

間違いなけりゃ、旅行は先延ばしだろう。こいつの誕生日も兼ねて真がいちばん楽しみにしてやがるんだが。

「・・・ドラッグストアでいいのか? 明日の午後なら車出してやる」

「ほんと?! ありがとーっ。ついでに酔い覚ましの薬も買い足しとこ! これから接待が多そうだもんねー、臼井の若は」

ぶっきらぼうに突き放したところで気にも留めない笑顔が返る。

「相澤さんのとこは二人とも女の子でしょ? なんかウチは、男の子が来そうな気がするんだよねぇ」

まだ分からねぇ話だろ。喉元まで出かかったのを押し戻した。

「そしたら榊もオジサンだからね?」

小股でゲストハウスへの廊下を戻りながら。俺をからかう女が心底愛しい。

母親になろうが何が変わるわけでもない。お前と、お前が守りたいものの為にテメェを残らずくれてやるだけだ。・・・極上じゃねぇか。胸の内で笑った。




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