愛は、つらぬく主義につき。 ~2
「・・・・・・たの・・・む・・・」

俺がいなくても仁さんと二人で何がなんでも守りきれ。
こんな傷たいしたことねぇよ、すぐだ、すぐ戻ってやる。

「ま・・・って、ろ・・・・・・」

「オレは男を待つシュミなんかねーよっ。テメーがさっさと帰ってくりゃいーだろ・・・ッ」

泣きながらよく言いやがる。可笑しくなった途端、意識が持ってかれそうになる。

「榊!!」

「榊ぃッッ」

真の怒鳴り声にあいつの悲鳴が重なって、耳の奥に響いた。

「宮子!」

「仁兄、離してッ、・・・榊っっ、ダメッ、死んじゃダメっっ、あんたがいなかったら、あたしはどうすんのっっ。約束したでしょ・・・ッッ、死ぬまで一緒に生きてくれるんでしょっ?!」

泣き叫ぶ声が今度は間近に迫った。気がした。

「あたし達の人生はまだこれからなんだよ?! 許さないからねっ、勝手に死んだら絶対に許さないからっっ、榊!!」

俺のもう片手を強く包み込む温もりに薄ら目を開ければ、子供みてぇに泣きじゃくる女が目の前にいやがる。

「・・・・・・く、な・・・」

「やだ榊ぃ、やだぁっ、・・・ちゃんとあたしを見てよ!、怒ってもいいから、ずっとあたしの傍にいてよぉっっ」

・・・アホが。俺がお前を置いてくわけねぇだろ。離れられねぇのはどっちだと思ってやがる。・・・ちょっとの間だけだ、真の言うこと聞いて大人しく待ってろ。

握り返そうとして指先をわずかに動かせただけだった。
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