愛は、つらぬく主義につき。 ~2
「そういうマジメなとこも可愛いのよねぇ、チヨちゃんは」

入ってきたお客さんに「いらっしゃーい」と笑いかけたユキちゃんが、こっちに片目を瞑ってみせた。



単なる腰かけでクレヴァONEにいるつもりはないけど。いずれ結婚したら遊佐を全力で支えたいって思ってる。そのためにはフルタイムの社員は続けられないのも分かってる。

仁兄があたしを秘書扱いにしたのも、きっと先を見越してのことだ。いつ去ってもかまわないように。それでもいる限りは。自己満足なんだろうけど、ほんの少しでも仕事を理解してなにかの助けになれたらって。思うんだよ。

他の社員がだれも、あたしと目を合わせようとしてくれなくても! 専務の川原さんが時々、あたしに向かってビシッとお辞儀をしちゃっても! クールな顔した社長がただただ、あたしを愛玩したくてしょうがなくても!


・・・・・・普通に仕事させてくれないかな?、どうにもこうにも。
< 3 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop