愛は、つらぬく主義につき。 ~2
あたしは、高津さんとの一連の出来事を二人に包み隠さず話した。

「・・・何となくあのひと、あそこであたしを待ってた気がする」

思い返してぽつりと。

「藤さんは、高津さんを見張ってたのかも。だからあのとき・・・」

「藤代さんが顔出すの、珍しいって思ってたけどな。・・・なるほどねぇ」

遊佐が背もたれに両肘を乗せて、上を仰ぐように。

「まあ・・・因縁と言えば、因縁かもしれねぇが」

仁兄が息を吐く。

「相澤さんは昔、連れ合いを事故で亡くしてる。それが高津の姉だ」

「お姉さん・・・?! じゃあ」

「義理の兄弟だったってことだが、この話は一部の人間しか知らねぇだろう」

「オレも、志信さんからだいたいしか聞いてない」

無造作に髪を掻き上げる遊佐の横顔も、なんか考え込んでるみたいな。
あたしは仁兄にその先を問い詰めた。

「お姉さんが事故で亡くなったのと、高津さんが相澤さんを恨んでるのって関係あるの?」

「亡くなった時、腹の中には子供もいたがどっちも助からなかった。・・・高津は、相澤さんが見殺しにしたと思ってるらしい」

「!!」

あの相澤さんが?! 

「そ、んなの、あり得ないってばっっ」

思わず立ち上がって叫んでた。

織江さんの優しい笑顔がよぎった。
(みやび)ちゃんと椿(つばき)ちゃんの可愛らしい笑顔がよぎった。

淡い。微笑みの残像が浮かんで。弾けた。
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