愛は、つらぬく主義につき。 ~2
夜の9時前には自分んちでご飯食べてる家庭的な極道者。・・・なんて言うとコメディみたいに聞こえそーだけど。真の役割は“司令塔”みたいなものだから、スマホとタブレットさえ繋がってれば時間も場所もカンケイないって。涼しいカオで帰ってくる。

・・・ほんとなら自分が仁兄にくっついて、一ツ橋組のカオを利かせに回りたいだろうにね。今は葛西さんが護衛も兼ねて真の代理を担ってくれてるのを、あんたがどんな気持ちで見送ってるのかって思うとたまらなくなる・・・。




「榊、白菜とか人参もちゃんと食べなさいよーっ」

「オレねぇシイタケと豆腐と、あと牡蠣(カキ)と牡蠣と牡蠣」

今日は牡蠣の寄せ鍋。(たら)だって、つみれだって、鳥モモだって入ってんのに!

「却下」

カセットコンロでいい具合に煮立った土鍋からは、お出汁の香りと湯気が立ち(のぼ)り。ダイニングテーブルの周辺はなおさら熱がこもるから真はTシャツ一枚、榊もワイシャツの袖をまくって、冷えたノンアルコールの発泡酒を缶から喉に流し込んでる。

リクエストにない具材をたらふくよそって、隣りの真の前に置いてあげると。なんか言いたげな流し目を送られた。知らん顔で追加の牡蠣を冷蔵庫に取りに行って戻れば。あたしのとんすいの中身が増えてる。春菊、シメジ・・・真があんまり好きじゃないやつ。お子様か!
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