愛は、つらぬく主義につき。 ~2
「初めましてって言うのも変よね~、でも『初めまして』だからしょうがないわよねぇ、宮子ちゃん! 中根志信の妹の、由里子(ゆりこ)です。会えてうれしいわぁっ」

藤さんと連れ立ってリビングに現れた、その人は。立ち上がったあたしを目に留めるなり、小さく駆け寄って人懐こい笑顔でハグをした。

快活そうな、色はオレンジ味がかったブラウンのウルフボブ。目鼻立ちがハッキリしてるのは、シノブさんと共通の遺伝子かなって納得。アイメイクと艶やかなルージュだけでも、華やかさが際立つ。
オフタートルのニットに、タータンチェックのワイドキュロット。あたしより歳は上なのに、可愛らしくてエレガント。
ニットにキャミソールワンピって普段よりシックにまとめてきた自分の方が、見た目の若さが負けてるよーな・・・。

なにより。朗らかっていうか底抜けてるっていうか、やっぱりさすが兄妹。勢いに押され気味に、あたしも挨拶を返す。

「いえあの、臼井宮子です、はじめまして・・・っ」

「こんなにカワイイ美人さんに育ってたなんてー。織江ちゃんから仲良しだって聴いた時は、世間は狭すぎるっていうか、もう運命みたいなものねーって思ったくらいよ?」

ハグを解いて無邪気に笑う彼女。

「あたしとも仲良くしてね、宮子ちゃん」
< 61 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop