愛は、つらぬく主義につき。 ~2
いざって時に自分が守れないのを言い訳にあたしの自由を奪いたくない。真がそんな風に思ってるのは知ってる。分かってる。でも。

「・・・二人の気持ちはすごく嬉しいけどさ。どうせなら不死身のスーパーマンくらいじゃないと、護衛になんないでしょ」

わざと意地悪く鼻で笑った。

誰かがあたしを庇って傷付くなんて二度とごめんなの。絶対に見たくないの。
なにより大事な男の脚を引き換えにするくらいなら、自分がどうなっても良かったって。
・・・それだけはきっと一生つきまとう後悔だから。

「フツウの人間だったら、役に立ちそうにないから次は連れてこないでね」

上から皮肉っぽく。

怒らせて『連れてこねぇよ』って言わせたかった。
ナニサマだって思われてよかった。守る価値もない女になりたかった、どうせなら。

榊は黙って何も答えなかった。

冷えて重たい空気が漂ったまましばらく走って制動がかかり、停車する。信号でもない道端で。ハザードの規則正しい打音だけが車内に響く。

運転席から、大きく息を吐いたのが聴こえたそのあとに。

「・・・怖がってんじゃねぇよ。守られる覚悟もなくてこの先、どうやって真を守ってやれるってんだ、大バカヤロウが・・・ッ」

思いっきり凄みを利かせた声で榊に唸り飛ばされてた。
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