愛は、つらぬく主義につき。 ~2
いつもの2列目シートに乗り込むと、真はすぐさまあたしを抱き込み顔を寄せる。柔らかく啄ばんでは。ワルツを踏むみたいなキスに溶けかかる。

「酔い覚ましになったろ」

色気の滲んだ口許。でも。目は笑ってない。

「高津さんが来たって?」

ユキちゃんかぁ。腑に落ちる。それであっさり帰る、って。
溜め息雑じりにありのままを話した。

「・・・からかいに来たってカンジでもなかったけど」

「へぇ? わざわざオレの女に手ェ出して帰るなんて、ナカナカ面白いコトしてくれる人だね」

気のない風でサラッと流すから。それらしく、余裕まで出てきたのかなぁって感心してたら。おもむろにスマホを取り出し、誰かに電話をかける仕草で。

「・・・あーオレ。しばらく宮子に一人つけといて。アリ一匹、寄らせんな」

言うだけ言って相手の返事も待たずに切る。
あたしは呆気に取られ、キレイな顔で威圧感たっぷりにほくそ笑む真。

「この件に関しちゃ、オマエは黙って言うコト聞いて。分かった?」

「ハイ・・・」

「間違っても高津さんに口説かれたりしたら、千倍返しじゃ済まねーから」


瞬間。背筋に怖気が走った。
あ。最大級、本気のヤツ・・・。
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