愛は、つらぬく主義につき。 ~2
「そう・・・だよね」

目を合わせてしっかり頷けば、満足そうにキスが落とされて。頭の上に乗っかった手が髪をくしゃくしゃに掻き回した。

「・・・相澤も心当たりはありすぎるんだろうが、的が絞りきれない以上、お嬢を出歩かせるのも心配さね。“親孝行”と思ってしばらくここに居なさいよ」

哲っちゃんが肘掛けに片肘を乗せ、頬杖をついた姿勢でやんわり言う。

「逃げた二人組は半グレじゃねえかって話だしな・・・。あぶり出すまで大人しくしてろ」

グラスを煽ってテーブルに置いた仁兄も、真顔で目を細めてた。

相澤さんを襲ったのはどこの組織なのか、相手の見定めがつくまでは慎重になるしかない。そのぐらいはあたしにだって。

「分かってる。その代わり相澤さんの様子だけでも教えて仁兄。織江さんには余計なコトは言わないって約束するから。・・・お願い哲っちゃん」

組長の娘にだって漏らせる情報なんてごく僅か。まして彼女は組には一切かかわりのない人。藤さんもきっと言いたくても、全部は言えない。

真剣に懇願するあたしを哲っちゃんはじっと見据え。

「・・・宮子お嬢の頼みなら断れませんがね」

一ツ橋組の若頭として答えてくれた。
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