愛は、つらぬく主義につき。 ~2
「それであの相澤さんは? 傷の具合とか・・・」

真から容体は教えてもらってても、訊かずにはいられなくて口から零れた。

『頭も口も動くし問題ない。傷より機嫌のがサイアク』

・・・元気ってコトでいいのかな、それって。

『まあ、さっさとケリつけて終わらすんで』


最後は億劫そうに言い切ったのが藤さんらしかった。
沈黙したスマホをローテーブルの上に置くと、ソファの背もたれに寄りかかって深く息を逃す。

由里子さんが駆けつけてくれたのを聞いて心底ほっとした。きっと。織江さんのココロに接ぎ木を当てて包帯巻いて、折れないようにしっかり手当てしながら励ましてくれてる。

明日、由里子さんにも電話してみよう。
スタンドライトの仄かな灯りにぼやけた部屋の天井を見つめて思った。

あたしと真の結婚式には、もちろん相澤さん一家と由里子さんにだって出席してもらうんだから。みんなの満面の笑顔で祝福してもらうんだから・・・!



ついさっきまで晴れ渡ってた空に垂れ込める真っ黒い雷雲。あの日の夕立みたいに土砂降りの雨を降らせても。強い風に流されてすぐに晴れ間が見えてくる。すぐに全部おわる。



・・・そう願って信じた2週間後。相澤さんを襲撃した二人組が見つかったことだけ真が教えてくれた。背後関係やどう処分されたかまでは訊かない。そこはあたしの立ち入れる領域じゃない。



ようやく外出禁止令も解かれて真っ先に連れてってもらったのは、織江さんのところにだった。



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