溺愛なんてされるものじゃありません
「あはは、赤崎さん顔に出てるよ。俺の名前分からないって。」

「す、すみません。」

「改めまして高成(たかなり) (りく)です。よろしく。」

高成さん、ね。ちゃんと名前覚えなきゃ。それにしても営業の人って、みんな爽やかな表情してるなぁ。

そして私は飲み会が終わるまで、高成さんの隣でずっと2人で話をした。

「じゃあ解散しますか。」

全員居酒屋の外に出てそこで解散した。帰り道が同じ人達で一緒に帰る事になった。

私は裕香と駅に向かって歩く。そしてもちろん帰り道が同じの平国主任と高成さんも一緒だ。並びは自然と私と高成さん、主任と裕香に分かれた。

「なんか前の2人、良い感じじゃない?」

主任と裕香の後ろを歩いていると、高成さんがコソッと言ってきた。確かに…良い雰囲気だ。

そんな2人の後ろ姿を見ながら駅に到着して電車に乗る。そして高成さんと裕香が駅で電車を降り、私と主任の2人になった。

「あの…先にマンション帰っちゃっていいですよ?」

「赤崎には俺が女性を夜道に残して帰る薄情な男に見えるのか?」

駅を降りて人通りの少なくなった夜道を歩きながら話をする。

「そうは見えないですけど、私コンビニで買い物して帰るので…。」

「買い物付き合うよ。」

私はコンビニでお酒とつまみになりそうなものを購入した。大した買い物でもないのに付き合わせてしまってなんか申し訳ない。

「まだ飲むのか?」

主任は私が持っているお酒とつまみが入ったビニール袋を見ながら聞いてきた。

「少し飲み足りなかったので。あっ、一緒に部屋で飲み直します?」

「ダメだ。密室で一緒に酒なんか飲んでもし間違いでも起きたらどうする!?酒のせいとはいえ、理性を抑えきれなくなるかもしれないじゃないか。」

そんな力いっぱい言わなくても…また主任の真面目すぎる性格がまた現れたようだ。私と主任で間違いが起こる訳ないのに。

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