溺愛なんてされるものじゃありません
そして仕事が終わり、私は会社の入口付近で高成さんを待った。

「ごめん、お待たせ。」

高成さんの声がしたので振り返ったら、主任も一緒にいるではないか。私は思わずじぃっと主任を見た。

「高成のデートの相手は赤崎…さんだったのか。じゃあ頑張れよ。お疲れ様。」

「平国主任、頑張れって何をですか。お疲れ様でした。」

主任は高成さんに挨拶をして私の横を通り過ぎる。主任はちらっと私の方を見たけど、言葉を交わす事はなかった。

「行こっか。」

「はい。」

私達は並んで歩き出す。高成さんが選んでくれた居酒屋は女性が好きそうなオシャレな雰囲気の店だった。

「今日も一日お疲れ様でした。」

チューリップ型のビールグラスで乾杯する。注文したシーザーサラダやピザを食べながら会話を楽しむ。そしてしばらくすると、高成さんがニッコリして私に質問してきた。

「ねぇ…赤崎さんから見て俺ってどんなイメージ?」

「高成さんのイメージ…ですか?そうですねぇ、一言で言えば好青年ですかね。好感度ランキングがあったら確実に上位にいそう。」

「ははは、初めてそんな事言われたよ。とりあえず悪いイメージ持たれてなくて良かった。」

高成さんの笑顔につられて私も笑う。今度は逆に高成さんに質問してみた。

「じゃあ、私はどんなイメージですか?」

「赤崎さん?そうだなぁ…可愛らしい癒し系なイメージかな。部屋とかもピンク色が多くて可愛いものがたくさんありそう。」

イメージって怖い。本当の私は可愛いらしさのカケラもないのに。今はちゃんとしてるけど、家に帰れば干物系女子になるし部屋だって掃除に時間かけたくないから余計な物は置かずに殺風景だ。

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