溺愛なんてされるものじゃありません
「ソファーで寝ると悪化するぞ。」

うとうとしていると、買い出しから帰ってきた主任がソファーの上から声をかけてきた。

「…お帰りなさい。」

ボーっとしながら主任の顔を見る。

「熱が上がったんじゃないか?どれ…。」

主任は前髪を上げ、自分のおでこと私のおでこをくっつける。

「熱っ…凄い熱だな。薬飲んでベッドで安静にしなきゃな。」

主任が買ってきた薬と水を飲み、私は自分の家に帰ろうと立ち上がる。

「主任、ありがとうございました。」

「何処に行こうとしてるんだ?」

「自分の部屋に…。」

そう言いかけた時、強制的に一旦ソファーに座らされ、その後主任はフワッと私をお姫様抱っこした。

「な、何!?」

「今日は泊まっていけ。俺のベッド使っていいから。」

「いや、えっ?」

動揺しまくる私をお姫様抱っこしたまま、主任のベッドまで連れて行かれた。そして布団をしっかりかけられおでこに冷えピタを貼られた。

「具合が悪くなったらすぐに呼べよ。」

そう言って部屋の電気を消す。

「あ…。」

「どうした?」

「私が寝るまで…一緒にいて下さい。」

熱でポーッとしながら主任に甘える。なんだかひとりは心細いと思ったのだ。

「…分かった。側にいるから。」

主任はベッドまで戻ってきてベッドの横に座る。私は主任の方を見て自分の手を出してみた。手をひらひらさせて手を握ってアピールをする。

「はは、なんか甘えてくる赤崎って可愛いな。」

主任は吹き出して笑った。そして笑いながら私の手を握ってくれた。

「おやすみなさい。」

安心感からか、私はそのまま朝までぐっすりと眠った。
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