溺愛なんてされるものじゃありません
その頃私は、突然誰かに手を掴まれて給湯室の横にある会議室の中へグィッと引き寄せられた。

「し、主任!?」

私を会議室へ引き寄せたのは主任だった。会議室には私と主任以外いない。

「なぁ赤崎、夜の俺はどう凄いんだ?」

耳元で囁くように話しかけてくる。もしかして給湯室での私達の会話を聞いてた?

「わ、私は何も言ってませんよ。」

私は主任からパッと距離をとり少し動揺しながら話す。

「給湯室の前を通りかかったら、赤崎達がなんか興味深い話をしているのが聞こえたから、悪いが給湯室の外から会話を聞かせてもらった。」

やっぱり聞いたのか。

「あれは俺の話だよな?という事は、俺のデートはダメだったって事か?」

「いや、ダメとかじゃなくて…デートが良すぎたんじゃ…。」

「でも二度目のデートはない感じだったよな。」

まぁ二度目のデートはないだろうな。裕香も心臓がいくつあっても足りないって言ってるし。

「…赤崎、もちろん今日家に来るよな?」

「えっ何で?」

「俺の話…聞いてくれるよな?」

主任は怖いくらい威圧的な笑顔で私を見てくる。

「…はい、お邪魔させていただきます。」

「じゃあ夜待ってるから。」

主任は私の肩をポンっとして会議室を出た。あんな顔されたら断れないし、まぁデートの反省会みたいなものかな…この時は単純にそう思っていた。

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