溺愛なんてされるものじゃありません
それから1時間くらいして目的地の水族館へ到着した。土曜日だけど思ってたより人が多い。私達は車を降りて水族館の入り口へ行く。想像通り女性の視線が主任へ集まるが、主任は慣れているのか周りの視線など気にしてないみたいだ。

中へ入ると薄暗い室内に数々の魚達が泳いでいる。私は思わず水槽の前でうわぁと声をだしてしまった。

他の水槽をじっくり鑑賞していると、お目当てのイルカショーの時間になった。前の席にはもうたくさんの人で埋まっていたので、真ん中くらいに座ってイルカショーを楽しんだ。

「わぁ凄い。」

やっぱりテレビで見るより迫力があって見てて楽しかった。

あっという間にイルカショーは終わり、観客達はゾロゾロと出て行く。私達はもう少し人が少なくなるまで椅子に座っていた。

「どうだった?」

「来てよかったです。あっでも次は最前列で水を浴びながら見たいですね〜。」

言った後に気づく。『次』があるかも分からないのに私は次の話をしてしまった。しまったと思ってソッと主任の方を見ると、主任は私の顔をじっと見て微笑んでいる。

「俺、やっぱり赤崎の事好きだわ。」

私はサラッと言われた言葉に、ん?っとなる。今、好きって言われたような?

周りに人が居なくなり、私達もイルカショーの会場から出た。主任はいつも通り…。さっきのは告白とかではなく、人間的に好きって事かな。あまり考え過ぎないようにしよう。

水族館を満喫した私達は、そのまま水族館にあるレストランで昼食を済ませて車へと戻った。

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