溺愛なんてされるものじゃありません
「主任、そろそろ髪を拭いた方が…。風邪引いちゃいますよ。」

主任の胸から顔を上げ今度は私が主任の髪をタオルで拭いた。

「…なんか照れるな、色々と。」

タオルで拭きながら主任の顔を見ると顔が少し赤くなっていて照れた表情になっていた。

「あっ主任、顔が赤くなってる。」

「うるさい、見るな。」

主任は笑う私の頭をガシッと掴み、視線を外された。そしてタオルを奪われ主任は濡れた部分をタオルで軽く拭く。

「よし、出発するか。」

水族館を出てしばらく車を走らせると、すっかり雨もやんでしまった。

「この後どうする?」

運転しながら主任が聞いてきたので私は少し考えて答える。

「…帰りましょうか。」

「帰るって…やっぱり俺とのデートが良くないからか?それとも俺からいやらしいオーラが出ているのか?」

なんだかどんよりした顔で私に聞いてくる。全然そんなんじゃないんだけど…。

「違いますよ。だって雨に濡れちゃったし、主任も運転に疲れているだろうし、何より…家で主任とゆっくりしたいなぁと思って。」

私はニッコリして主任を見る。

「そういう事なら…。じゃあ酒と食料を仕入れて帰るか。何食べたい?」

「焼き鳥食べたい。」

「本当に肉が好きだな。」

帰り道、お酒と焼き鳥を買って主任の部屋に戻った。

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