溺愛なんてされるものじゃありません
夜になり、私は自分の部屋でくつろぎながら一人でテレビを見ていた。今日蓮さんは課長と飲みに行くらしい。最近は蓮さんの部屋に居る事が多いから、なんだか一人だと寂しいなんて思ってしまう。

もうさっさと寝ちゃおうかなと思っていると、蓮さんから電話がかかってきた。

「もしもし。」

「あっ美織、今から美織の部屋に行ってもいいか？話があるんだ。」

「いいけど…今どこ？」

「駅を出たところ。もう少ししたらお邪魔するよ。」

「うん、分かった。待ってるね。」

私は電話を切って蓮さんを待つ。なんか蓮さんの様子がおかしいように感じたのは気のせいかな。

しばらくすると蓮さんから『着いた。』とメッセージが届いた。私はそっと玄関のドアを開ける。

「ただいま。」

「お帰り。どうぞ。」

外の冷やっとした空気が部屋に入らないように、素早く蓮さんを部屋の中に入れ鍵をかける。

すると蓮さんは靴も脱がずに深々と頭を下げてきた。

「すまない、美織。」

「何？急にどうしたの？」

私はまるでクレーム対応の時のようなお辞儀に驚き、慌てて頭を上げるようにお願いする。

「…さっき課長と飲んでる時に言われたんだ。断ったはずの見合い話が進んでいると。」

「…え？」

お見合いの話が進んでいる？ゆっくりと頭を上げた蓮さんは確かにそう言った。とにかく玄関で話をするのも何だし、取り敢えず部屋に上がってもらい話をする。

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