溺愛なんてされるものじゃありません
主任×私×元彼
翌朝、私は会社に出社するとデスクに顔をつけ、既に疲れ切った表情をしていた。

蓮さんめ〜と私は心の中で恨み節に叫ぶ。寝不足だし腰がっていうか身体中痛いし怠いし、今日はコンディション最悪な状態だ。何故こんな状態になったのかというと…ご想像にお任せします。

「おはよう美織。朝から疲れ切っちゃって大丈夫？」

出社してきた裕香が私の隣に座る。そして裕香からふわっとエレガントな大人の良い香りがしてきた。

「うん。ただの幸せ疲れだから大丈夫。裕香、香水変えた？」

「気づいた？美織こそ良い感じじゃない、その髪型。似合ってるよ。」

「本当？良かった。それじゃあ目覚ましにコーヒー飲んでくるわ。」

私は立ち上がって自販機に向かった。やっぱり眠気覚ましにはコーヒーかなと思い、ミルクと砂糖の入ったコーヒーのボタンを押そうとしたが、何故か誰かにコーヒーのボタンを押されてしまった。

「ちょっと誰！？勝手にボタン押したの。しかも押したのはブラックコーヒーだし。」

キッと睨むように振り向いた先にいたのは、私のよく知るあの男性…。

「おはよう赤崎さん。朝から何か疲れてないか？」

朝から爽やかな笑顔で私に挨拶してきたのは蓮さんだった。おかしい…睡眠不足なのは私と同じはずなのに、彼は何で朝からキラキラしているんだ？

「…おはようございます。主任は朝から爽やかですね。羨ましいです。」

私がジトーッと見ていると、蓮さんは笑いながら自販機からブラックコーヒーを取り出した。

「これご馳走さま。仕事頑張れよ。」

蓮さんは私の頭をポンっとしてブラックコーヒーを持ったまま仕事に戻っていった。

「コーヒー代、高くつきますよ。」

とは言うものの、朝から蓮さんに会えて思わずはにかんだ。今日も仕事頑張れそうだ。

< 58 / 101 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop