溺愛なんてされるものじゃありません
「急にどうした!?」

柱の影に隠れながら、コソッと高成に話しかける。

「会社の前に赤崎さんが男といます。二人で何してるんだろう。」

高成は美織と男を恨めしそうに見ている。もしかして一緒にいるのは杉村っていう元彼か?俺も高成と一緒にじぃっと二人を見る。美織はああいうのがタイプなのだろうか。

「あっ、赤崎さんと一緒にいるのって杉村か?何でアイツと…。もしかして赤崎さんの彼氏って杉村!?」

「あの男を知っているのか?」

「はい。アイツは経理課の杉村っていって俺の同期です。正直俺は杉村の事嫌いなんですけどね。」

「どんな奴なんだ?」

「仕事はできる奴なんですけど、はっきり言って女好きです。入社後の研修で最初は営業を希望してたくせに、経理課に好みの女性がいたからってあっさり経理課に配属希望出すような奴ですよ。」

女好きか。でも美織が好きになるんだから、何かしら魅力があるのかもしれない。

「二人が歩き出しました。主任、行きますよ。」

「行くって、まさか二人の後をつけるのか?」

「もちろん。気になるじゃないですか。」

高成はそう言って二人の後を追う。確かに俺も気になってしょうがないが、この前から屋上で話を盗み聞きしたり美織の後をつけたり、俺ってストーカーみたいじゃないか?

…と思いつつも高成と一緒に二人の後を追った。あの男は勝手に美織にキスをするような奴だから、また何かあれば俺が直々に制裁しなければ…。

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