溺愛なんてされるものじゃありません
「…そんな風に思ってくれてたんだ。ありがとう。でも今、杉村さんの気持ちを聞いてもやっぱり復縁は出来ない。」

「彼氏がいるからか?俺は美織と入れるなら二番目の男でもいいけど。」

杉村はサラッと言う。それを聞いている俺のイライラが徐々にピークに近づいてきた。

「あはは無理よ。私ね、杉村さんと再会して私の心が少しざわついて、もしかしてまだ未練があるのかなって思った。でも今日話をしてそれは違うって事が分かってホッとしたの。話を聞かずに逃げた事による罪悪感だったみたい。取り敢えず私は今の彼氏が好きって再確認出来て良かった。」

「何だよそれ。俺は諦めないからな。」

「とにかく、私の幸せを邪魔しないで。」

不貞腐れたような言い方をする杉村に美織は釘をさすような言い方をする。

「もしかして…美織、また社内恋愛してるのか?それで俺が美織に近づいて社内で噂になったら困るとか?」

「なっ…。」

「おっ図星か?どこの部署の男だよ。」

美織は困った様子で言葉を詰まらせた。そして俺のイライラもピークに達した。

「やっぱり赤崎さんだ。偶然だね。」

俺は後ろにいる美織に笑顔で話しかけた。

「え…ひ、平国主任!?何でここに…。高成さんも。」

俺の後ろから高成もひょっこり顔を出して美織に手を振っている。

「まぁミーティングを少し…。それより邪魔しちゃったかな?」

「あっいえ…大丈夫です。」

美織は俺の出現にあたふたしながら立ち上がった。

「うわっ何で高成がいるんだよ。」

杉村は高成を見ながら嫌そうな顔をする。

「それはこっちのセリフだっつの。赤崎さん困ってるじゃねぇか。さっさと諦めろよ。」

高成も杉村を睨みつけるように言葉を投げる。

「お前には関係ないだろ!?まさか…美織の彼氏って高成じゃないだろうな?」

「だったら何だって言うんだよ?」

高成と杉村はお互い睨み合い、一触即発の状態だ。

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