溺愛なんてされるものじゃありません
「店内で騒ぐな。外出るぞ。」

俺の一言で二人の言い合いは一時的に収まり、取り敢えず四人でカフェの外に出る。

「高成、もしかしてあの方は社長御曹司の平国主任じゃないのか？」

「あぁ、そして俺の上司でもある。それがどうした？」

「ちっ狡いぞ。お前、御曹司に取り入って出世しようとしてるのか。」

「悔しかったら杉村も気に入られてみろよ。」

高成と杉村は少し俺たちから離れて何やらコソコソ二人で話をしている。悔しそうにしている杉村と勝ち誇った表情の高成…まだ美織の話をしているのか？

「ねぇ…いつからカフェにいたの？」

二人が離れた隙に美織が俺にコソッと話しかけてきた。

「さぁ？」

俺がとぼけてみせると、美織は少し頰をプクッとさせた。その姿が可愛くて俺は思わず笑みがこぼれる。

早く美織と二人になりたい。さっさとこの邪魔な二人と解散しよう。

「とにかく、赤崎さん困っているだろ？これ以上迷惑かけるな。二人とも分かったな？」

俺は二人に近づいて忠告する。言葉には出さないが、これ以上美織に近づいて困らせたらボコボコにしてやるからな…と雰囲気を出した。

「はい。」

「じゃあ解散。外は暗いし赤崎さんは駅まで送るよ。」

「ありがとう…ございます。」

「俺も駅行きます。」

俺と美織、高成は話をしながら歩いて駅に向かった。そして三人同じ電車に乗り、高成は俺たちより早く電車を降りた。

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