いや、ちょ、待って!
・・・私は、キスをされるよりも、寸止めをされることのほうが辛い。
ましてや目の前の男は超絶美形、しかも厄介なことに、私の好きな顔をしている。
後ろに顔を引こうにも、すでに私の後頭部は壁にきれいに接着している。
「とりあえず、離れてくれないかな?」
とても心臓に悪い、この寸止めの状態をとにかく脱したい私は、なんとか言葉を振り絞ってみる。
「ね、先輩。」
けれども、帰ってきたのは、欲しい言葉じゃなかった。
きた、この言葉だ。
この言葉を聞くと、心臓がきゅってなって、息が詰まる。
「俺ね、寸止めされた時の先輩の顔、好きだよ。」