ボクソラ☆クロニクル
序章
――××3年。
毒ガスに汚染された文明が滅びた大陸の中で、唯一人々が生き延びた王国【メラヴィエ】
国の中心にある巨大な大穴から沸き上がる風に守られたその国で、人々は風と共に生きている。
メラヴィエ王国、アグロト州。スピコール酒場。
どうしよう……。
私は騒がしい酒場の隅っこで縮こまりながらキョロキョロと視線をさ迷わせていた。
右を見ても左を見ても、目に入ってくるのは屈強な体躯の男性たちばかり。筋肉隆々、顔や体に傷や刺青を入れた彼らは傍目に見ていてもとても恐ろしい。
あの人は顔の傷が怖いな。傷跡がたくさんあって、いかにもって感じだし。
あ、でもその向こうに座っている人は優しそうな顔してるかな。
……だめだ、隣の人に殴りかかっていった。
「はあ……声を掛けられそうな人なんて見つからないよ……」
今、私はこの酒場の中から一緒に王都まで旅をしてくれる同行者を探している。
この『スピコール酒場』は、アグロト州きっての『空賊の溜まり場』。
つまりここにたむろしている男たちはみんな、空賊なのだ。
屈強な空賊相手に「一緒に王都まで行ってください」なんて声をかけること自体どれだけ馬鹿げた行為であるのか、いくら世間知らずな私でも重々承知している。
それでも他に道がないのならここにすがるしかなかった。
「絶対に王都に行かなくちゃならないんだ……」
正規のルートが使えるのなら、私だってこんな馬鹿なことしようなんて思わない。
ただ王都に行きたいのなら普通に旅客船に乗って、王都のある州まで向かっただろう。
だけれど今の私はその道が使えない。
じゃあ歩いてでも向かえばいいんじゃないかって話なんだけど……。
毒ガスに汚染された文明が滅びた大陸の中で、唯一人々が生き延びた王国【メラヴィエ】
国の中心にある巨大な大穴から沸き上がる風に守られたその国で、人々は風と共に生きている。
メラヴィエ王国、アグロト州。スピコール酒場。
どうしよう……。
私は騒がしい酒場の隅っこで縮こまりながらキョロキョロと視線をさ迷わせていた。
右を見ても左を見ても、目に入ってくるのは屈強な体躯の男性たちばかり。筋肉隆々、顔や体に傷や刺青を入れた彼らは傍目に見ていてもとても恐ろしい。
あの人は顔の傷が怖いな。傷跡がたくさんあって、いかにもって感じだし。
あ、でもその向こうに座っている人は優しそうな顔してるかな。
……だめだ、隣の人に殴りかかっていった。
「はあ……声を掛けられそうな人なんて見つからないよ……」
今、私はこの酒場の中から一緒に王都まで旅をしてくれる同行者を探している。
この『スピコール酒場』は、アグロト州きっての『空賊の溜まり場』。
つまりここにたむろしている男たちはみんな、空賊なのだ。
屈強な空賊相手に「一緒に王都まで行ってください」なんて声をかけること自体どれだけ馬鹿げた行為であるのか、いくら世間知らずな私でも重々承知している。
それでも他に道がないのならここにすがるしかなかった。
「絶対に王都に行かなくちゃならないんだ……」
正規のルートが使えるのなら、私だってこんな馬鹿なことしようなんて思わない。
ただ王都に行きたいのなら普通に旅客船に乗って、王都のある州まで向かっただろう。
だけれど今の私はその道が使えない。
じゃあ歩いてでも向かえばいいんじゃないかって話なんだけど……。