ボクソラ☆クロニクル
「えっと、ボク。具体的な誰かを探していたんじゃなくて……事情があって王都まで行かなくちゃならなくて。だから、途中まででも良いから、乗せて行ってくれる船がないかって探していたんです」
「王都に? それなら旅客船を使えば良いだろう」
「えっと……」
ヴォーパル・ソードに追われているから旅客船は使えない。
そう言うことが出来ずカルロスさんの言葉を前に口もごんでいると、眼鏡の男性が「なるほど、訳ありですか」と呟いた。
「これは随分、厄介な拾い物をしてきてしまいましたね、レオン」
「うっせぇ。俺の船に誰を連れ込もうと俺の勝手だろ」
「はぁぁ!? 勝手じゃないし、良くないし!」
レオンの言葉に白衣の少年が目の色を変えた。
バンと自分の胸を強く叩いてから、彼はレオンに掴みかかりそうな勢いで激しく、まくし立てていく。
「確かにこの船はレオンが船長だけど! アリスは! 僕の! 僕のアリスだから!」
「わーった、わーったよルドルフ。落ち着け。チビ助――じゃねぇや。ニーナが引いてる」
「えっと……」
背の低い少年に続いて、整備士らしき白衣の少年もこちらに厳しい視線を向ける。
「とにかく、僕は嫌だからね! 僕のアリスに知らない人間が乗ってるの!」
「ちょっと待ちなさいよ! 可哀想じゃない。こんないたいけなかわい子ちゃんほっぽり出すなんて!」
「オカマは黙ってろよ!」
「なんだって?」
「ヒッ」
私の存在を巡って甲板はすっかりてんやわんや。
「どうするんだ、レオン」
そんな中で発せられたカルロスさんの言葉に、レオンさんはうーんと顎に手を当てて考え込む。