ボクソラ☆クロニクル
しかしここでいくら考えたところで、答えが見つかる訳でもない。
「何はともあれ、アイツとはキトリール州に着くまでの1週間だけの関係だ。アイツが何者であれ、深追いはするな。俺からは以上だ」
「イエス・キャプテン」
深追いはしない。
船長であるレオンが拾ってきてしまった責任を取って1週間、この船において置いておく。それだけの関係だ。
そこで幹部会議はお開きとなった。
おやすみなさいと幹部たちが次々に自室へ戻っていく中で、カルロスだけが足を止めた。
「どーした、カルロス」
「レオン。彼女が何者であれ、もしお前に仇をなす存在であるのなら……俺は容赦なく斬り捨てるからな」
「心配性だねぇ、相棒」
大丈夫だよ、とレオンはヒラヒラと手を振ってみせる。
「何があろうとお前らが不安に思うことなんざ1つだってありはしねぇ」
彼の瞳の中には確かな決意がたゆたっていた。
「……俺の仲間たちは、何があろうと俺が守る」
船長の言葉に、カルロスは静かに「ああ、分かってるさキャプテン」と目をふせた。
「だが俺にも守らせてくれ。お前が仲間を守りたいように、俺だってお前を守りたいんだ」
そう言い残すと、カルロスは船長室を後にする。
1人自室に残されたレオンの横顔を、窓から差し込む月明かりが照らしていた。