ボクソラ☆クロニクル
「ちーっす、おはよう諸君!」
部屋の扉が開かれ、中にレオンさんが入ってきた。
「おはようございます」
「おはようございます、レオンさん」
次々に掛かる声に「おはよう」と返事をしながら、レオンさんは奥のカルロスさんのところにまで向かう。食事を取り終わると、彼はこちらにやって来て。
「おはよう、今日も清々しい朝だな」
「雲の上にいるんだから当然じゃん」
ルドルフさんの言葉に、レオンさんは「そう言うなよ」と肩を竦めた。
「おはようございます」
真正面に腰を下ろした彼に声を掛けると、レオンさんはニヤリと口角を上げた。なんだか意地が悪い笑顔に戸惑っていると。
「おはようニーナ。案外普通に挨拶してくるんだな」
と彼は言う。
案外普通にって……どうして彼はそんなことを言うのだろうかと目を丸くしていると、私の脳裏に昨晩の嫌な記憶がよみがえってしまった。
「…………ッ!! わ、忘れてください!!」
そうだ。色んなことがあり過ぎてすっかり頭の中から抜け落ちてたんだけど、昨日の晩。シャワーを浴びさせてもらってたら……!!
「へぇ〜、俺にあんな熱烈なことしておいて? 忘れろって言うのか?」
「そ、それについては大変申し訳ございませんでしたが……ッ!」
船に乗せてもらっておきながら、相手の船の船長の顔面めがけて桶を投げてしまったことは確かに申し訳ないし、恥ずかしくなってモニョモニョと下を向いていると。
「気にしなくていいわよニーナちゃん。貴方が投げた桶の1つかわせなかったウチのキャプテンの落ち度だわ」
「サミュエルてめぇ、昨日から誰の味方なんだよ」
「何言ってんの? 決まってるじゃない。ニーナちゃんに決まってるでしょ」
「ねー」とサミュエルさんはこちらを見てくるけれど同意を示すことも出来ずにオロオロしていた。
その後、カルロスさんを初めとした給仕当番の人たちも席に着く。
「それでは諸君! 頂きます!!」
レオンさんの挨拶で朝ごはんが始まった。