ボクソラ☆クロニクル

「ちょっとレオン、ニーナちゃんに下着まで洗うように頼んだって本当なの?」

 すかさずサミュエルさんがレオンさんにどうして私に洗濯物なんて洗わせたんだと詰め寄っていった。無論、部外者に普段身につけるものを触らせるなって話ではなくて、若い女に男の洗濯物なんてさせるなって方向性で。

 問われたレオンさんはサミュエルさんの言い分が理解出来ないらしくて、目をぱちくりさせていた。

「別に良いじゃねぇかそんくらい。なぁニーナ」

 同意を求めるような視線をこちらに向けられて、私も首を縦に振った。

「ええ、お父さんの下着も私が洗っていましたし。近所の教会に手伝いに行っていた時には皆の洗濯物を洗ったりもしていたので。私としてはお洗濯くらい何の問題はありませんけど……」

 気を使っているわけでもなく、本当に気にしていなかった。
 下着よりも正直放置されすぎて衣服に染み付いた臭いを落とす方が余程難儀だったと思うのだが、サミュエルさん的にはどうやらそういうことではないようだ。

「そーじゃなくて! 見なさいよルドルフを!!」

 ビシリと、サミュエルさんが勢いよくルドルフさんを指さす。

「同世代の女の子に下着を現れたショックでさっきからずっと耳まで真っ赤なのよ!」
「僕を引き合いに出さないでくれるかな!?」
「真っ赤なのは事実でしょうが!」

 確かに、ルドルフさんは耳まで真っ赤になっていた。
 そう言えば教会でお世話になってる孤児の子たちも、10歳を過ぎた辺りから「ニーナは洗濯しないで!」って言ってたっけ。まあ分けるの面倒くさいから問答無用で洗ってたけど。
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