ボクソラ☆クロニクル


「……ッ!」

 立ち込める土煙。爆撃によって店の壁が破壊されたのだ。土煙の向こうからバタバタと人の足音が聞こえてくる。

「全員動くな! ヴォーパル・ソードだ」

 壁に空けられた大穴の向こうからやって来たのは、ドラゴンを貫く剣を模したエンブレムを胸に掲げた一団。
 彼らは空の治安を守る警察組織、ヴォーパル・ソードだ。

 本来は空賊たちを取り締まる国の組織なんだけど、私は彼らに対してあまり良い感情を持っていなかった。

 なぜなら、彼らが私のお父さんを無理やり捕まえて王都に連れていった張本人だから。

 私は正規のルートで旅をすることが出来ないのは、お父さんが彼らによって捕縛され、私自身ヴォーパル・ソードから追われている。

 理由は分からないけれど、彼らに見つかれば私も捕まってしまう。そうなったらもう、王都に連れていかれたお父さんを助けることが出来なくなってしまう。

 私は、お父さんを助けるために王都に行きたいんだ。だから彼らに捕まるわけにはいかない。

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