【電子書籍化】騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍
「もちろん、嫌ならはっきり断っていい。俺もそれは陛下に念押ししてある」
「ええ……明日、とりあえず、陛下のもとへ向かいます」
エルシーは話を聞きながら、まだ会ったことのない王女に思いをはせた。政略結婚とはいえ、王族であるという理由だけで慣れ親しんだ祖国を離れて嫁いできた王女の心中を思うと、切なくなってきた。もしかしたら、国に大切な思い人を残してきたのかもしれない。
「王女様はどんなお方なのでしょうか?」
「ローランザム王国第一王女、ティアナ殿下。御年十八」
「では、私とふたつしか変わらないんですね」
王太后がエルシーを名指ししたのも、年齢が近い方がいいだろうという思慮からかもしれない。
「一度だけ、ちゃんとお姿を拝見したことがある。銀髪の長い髪に、薄紫の瞳をお持ちだ」
実はアーネストは、黒いローブもヴェールも取り外したティアナの姿を一度だけ見たことがある。
それは、王女が王宮に到着した日。馬車から降りた王女を見送り、一旦執務室に戻ったアーネストとグレッグは、国王ジェラルドから謁見室に呼び出された。謁見する身支度が整った王女が今から来るので、王の供をせよ、という命令だった。
本来の姿で謁見の間に現れた美しい髪色の王女を見て、護衛の騎士、侍従、侍女など複数の者から、見惚れるような溜息が漏れる。
「ええ……明日、とりあえず、陛下のもとへ向かいます」
エルシーは話を聞きながら、まだ会ったことのない王女に思いをはせた。政略結婚とはいえ、王族であるという理由だけで慣れ親しんだ祖国を離れて嫁いできた王女の心中を思うと、切なくなってきた。もしかしたら、国に大切な思い人を残してきたのかもしれない。
「王女様はどんなお方なのでしょうか?」
「ローランザム王国第一王女、ティアナ殿下。御年十八」
「では、私とふたつしか変わらないんですね」
王太后がエルシーを名指ししたのも、年齢が近い方がいいだろうという思慮からかもしれない。
「一度だけ、ちゃんとお姿を拝見したことがある。銀髪の長い髪に、薄紫の瞳をお持ちだ」
実はアーネストは、黒いローブもヴェールも取り外したティアナの姿を一度だけ見たことがある。
それは、王女が王宮に到着した日。馬車から降りた王女を見送り、一旦執務室に戻ったアーネストとグレッグは、国王ジェラルドから謁見室に呼び出された。謁見する身支度が整った王女が今から来るので、王の供をせよ、という命令だった。
本来の姿で謁見の間に現れた美しい髪色の王女を見て、護衛の騎士、侍従、侍女など複数の者から、見惚れるような溜息が漏れる。