【電子書籍化】騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍
慌てて理由を述べるエルシーがを見て、パメラの口元が少し緩む。
「そうですね」
「えっ……⁉」
「ですが、ご心配には及びません。ディアン様は王宮で王女様の影として、育てられてきました。髪を伸ばし、ドレスに囲まれ、女性としての所作を身につけ……幼少期はそれで良かったのでしょうけれど、自分が男性だと強く認識してからは、葛藤していたと思います。身寄りのない自分を育ててくれた王家に恩を返すためにも、与えられた役割をこなさなくてはならない。でも無意識に、本来の自分の姿をどこかに追い求めるようになったのでしょう。つい癖で、凛々しく逞しい男性に、自分の理想像を重ねてしまう傾向があるのです。いわば憧れです。どうか大目に見て差し上げてくださいませ」
「そう……なのですね」
誤解だとわかり、エルシーは胸を撫で下ろした。
「パメラさんは、ディアン様のことをとてもよく理解されているのですね。まるでお姉様みたい」
「私はもともと王女様つきの侍女でしたので、ディアン様とも付き合いは長いというだけです。王女様の影の存在を知っているのも、ほんのわずかな人間です」
「ではパメラさんも、ローランザム王家からとても信頼されているのですね。こんな重大な秘密を抱えて他国へ赴く勇気など、私にはありません。感服いたしました。よろしければ今度、ゆっくりお話しさせていただけますか?」
エルシーの申し出に、パメラは再び目を見開く。しかし自分が褒められたのだとわかると、少しはにかんで、「……はい、是非」と小さく返事をした。
「そうですね」
「えっ……⁉」
「ですが、ご心配には及びません。ディアン様は王宮で王女様の影として、育てられてきました。髪を伸ばし、ドレスに囲まれ、女性としての所作を身につけ……幼少期はそれで良かったのでしょうけれど、自分が男性だと強く認識してからは、葛藤していたと思います。身寄りのない自分を育ててくれた王家に恩を返すためにも、与えられた役割をこなさなくてはならない。でも無意識に、本来の自分の姿をどこかに追い求めるようになったのでしょう。つい癖で、凛々しく逞しい男性に、自分の理想像を重ねてしまう傾向があるのです。いわば憧れです。どうか大目に見て差し上げてくださいませ」
「そう……なのですね」
誤解だとわかり、エルシーは胸を撫で下ろした。
「パメラさんは、ディアン様のことをとてもよく理解されているのですね。まるでお姉様みたい」
「私はもともと王女様つきの侍女でしたので、ディアン様とも付き合いは長いというだけです。王女様の影の存在を知っているのも、ほんのわずかな人間です」
「ではパメラさんも、ローランザム王家からとても信頼されているのですね。こんな重大な秘密を抱えて他国へ赴く勇気など、私にはありません。感服いたしました。よろしければ今度、ゆっくりお話しさせていただけますか?」
エルシーの申し出に、パメラは再び目を見開く。しかし自分が褒められたのだとわかると、少しはにかんで、「……はい、是非」と小さく返事をした。