騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍
 たしなめられたグローリアはくるりと前方に回ると、エルシーの頬を両手で包み込んだ。

「勿体ないわ。わたくし、知ってるのよ。エルシーはいつも髪をキチッとまとめてるけど、流れるように美しい金髪なのを。それに、とっても綺麗なエメラルドグリーンの瞳で、引き込まれるわ。こんな女性を放っておくなんて、世の中の殿方は見る目がないわね」

「とんでもありません。さあ、ここは寒うございますから早く戻りませんと」

 エルシーは笑顔でグローリアを促すと、手を引いて王宮へと急いだ。

 ふうっと、微かにため息が漏れる。

 没落貴族の自分には、結婚は縁のないことだった。

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