騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍
 バンッ!

 突然、謁見室の扉が開かれ、ピンクのドレスをまとった金髪の少女が、必死の形相で乱入してきた。

「エルシー!」

 近くにいたアーネストに軽く身体をぶつけながらも、しゃがみ込んでエルシーに抱きつく。

「グローリア様⁉」

「ああ、エルシー、ごめんなさい、わたくしが非力なせいであなたをこんな目に遭わせてしまって。いきなりお兄様に連れて行かれて、とても怖い思いをしたでしょう? ああ、こんなに震えて。……お兄様、エルシーはわたくしの恩人なのですよ? なのにこんな扱いはひどいわ!」

「言っておくが、グローリア、私は彼女には何もしていないよ。尋問もしていない」

「いいえ、だったらこんなに顔色が悪いはずないわ。ああ、エルシー、ごめんなさい」

 グローリアはしくしくと泣き出してしまった。こうなるとお手上げだと言わんばかりに、ジェラルドは肩をすくめる。

 
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