鳥居の道標
「はっはっは! 見ろ右狐、怖がっとるぞ」
いきなり一匹が笑い出した。
なんなのこの狐は。
『右狐』と呼ばれる狐は、今まで二匹とも調子がそっくりだったのに、今回はやれやれとした様子でため息をつく。
「なぜこんな奴の方が上なのかわからぬ。白狐が人をだましてどうする! ただの狐と同じレベルに落ちても良いのか⁉」
「なっ。お主、また言ったな⁉ ワシの方が役立つ狐じゃからに決まっておろう! それに騙してはおらぬぞ!」
「なんじゃとお!」
つい数秒前まで仲良さげに見えていたのに、今にも取っ組み合いが始まりそうな勢いで、睨みをきかせていた。
狐にも上下関係のようなものがあるのかな。そういえば、人間にも左大臣や右大臣があったし、それに似たものなのかもしれない。
『チリーン────』
まただ。