鳥居の道標
「えっと……。ちょっと、ない……ですかね」
正直に伝え、ちらりとその表情を見ると、『ガーン』という文字が顔から浮かび上がってきそうなほど、眉は下がり、口は空いている。
すらりと伸びた体つきと整った顔は、ただのしょげた可愛らしい子供のようになっていた。
「で、でも、この服はどうだ⁉ これは最先端でかっこいいって、みんな言ってくれるんだぞ!」
見せてきたのは、彼が今着用している服。
Tシャツにジーパンと、いかにも部屋着感が凄かったが、問題はそれではなかった。
白をベースとしたTシャツに、大きく黒字で『Beef or chicken?』と書かれているにも関わらず、なぜかその下に豚の絵が描かれているのだ。
あまりにもバラバラすぎる!
「ふふっ……あはは! そんな服、どこで売ってるんですか!」
笑いをこらえることができず、大笑いをしてしまった。
だって、こんなにも意味が分からない服があること自体が面白いし、それをめちゃくちゃイケメンな人が着ているんだもん。
「あーお腹痛い。久々にこんなに笑ったかも」