鳥居の道標
私が涙を拭って男の人を見ると、今度はうずくまっていて、狐たちが背中をさすっている状況だった。明らか沈んでいるのがわかる。
「こりゃ!お前、さっきから仮にも神様に対して、何たる無礼なことを言っとるんじゃ!」
「そうじゃそうじゃ! 見よ、こんなにも落ち込んでいらっしゃるではないか!」
え……神様?
今、狐たちが発した言葉を、上手く理解できなかった。
だって、歳は大学生くらいに見えるし、イケメンなのに子供っぽくて。
霊感もない私に見えるわけもないのに。
でも狐は喋ってるし、スマホはいきなりつかなくなるし、ここがどこかもわからないし……。
よし、これは夢だ。夢だと思おう。
とりあえず自分にそう言い聞かせ、神様と言われる彼に近づいた。
「ご、ごめんなさい。だって、神様って着物とか着てそうなイメージだったから……」
瞳の潤んだ顔が私を見上げる。プゥっとほっぺを膨らませ、「神様だって、人間みたいにオシャレしたいのだ! 最先端でかっこいい服を着たいのだ!」と言って、そっぽを向かれてしまった。