鳥居の道標
*
お店の前に出て、神様はふうっと息を吐く。
白狐たちは何も言わず、大人しく着いてきていた。
「さて、あそこに行くか」
落ち着いた表情で、今度は離れて歩き出す。
当たり前のことなのに、今まで暖かく握られていたものが無くなって、急に手が寂しく感じた。
大事なプリントを忘れてしまった日みたい。
そう思い込んで、自分の感情に蓋をする。
気付かなければ、これは名前のないただの感情。
だから、見て見ぬふりを貫いた。
神様の後ろに並び、見えてきたのは商店街の終わり。
広い公園のようになっているけれど、たくさんのベンチやテーブルが置いてあって、人型神様がお喋りをしていた。
「ここは頂上の休憩所だ。ほら、あそこに神社があるだろう? そこで参拝してる奴らは皆人間だ」
神様の休憩所の隣には、確かに神社らしき小さな鳥居と祠があって、頂上にたどり着いた人がちらほら参拝していた。
お店の前に出て、神様はふうっと息を吐く。
白狐たちは何も言わず、大人しく着いてきていた。
「さて、あそこに行くか」
落ち着いた表情で、今度は離れて歩き出す。
当たり前のことなのに、今まで暖かく握られていたものが無くなって、急に手が寂しく感じた。
大事なプリントを忘れてしまった日みたい。
そう思い込んで、自分の感情に蓋をする。
気付かなければ、これは名前のないただの感情。
だから、見て見ぬふりを貫いた。
神様の後ろに並び、見えてきたのは商店街の終わり。
広い公園のようになっているけれど、たくさんのベンチやテーブルが置いてあって、人型神様がお喋りをしていた。
「ここは頂上の休憩所だ。ほら、あそこに神社があるだろう? そこで参拝してる奴らは皆人間だ」
神様の休憩所の隣には、確かに神社らしき小さな鳥居と祠があって、頂上にたどり着いた人がちらほら参拝していた。