神様がくれたプレゼント
「Sho、お前のマンションだけど、曲を作りやすい部屋があった方がいいって言ってたよな?」

「あぁ、その方が集中しやすいかなって 」

「この物件どうだ?」

俺のマネージャーが物件の資料を見せた。

「すげぇ、3LDK。こんないい所住んでいいの?」

「あのなぁ、お前って奴は欲がないよな」

「俺は、歌えればいいだけだから」

「そうだったな。お前はそういう奴だった」

俺のマネージャー、麗太(れいた)さんは、事務所に入った時から、俺のマネージャーで、お兄さん的存在なのだ。俺より10歳年上で、背が高く、常に冷静……それに俺のことをよく理解している。

「そろそろセキュリティがしっかりしたマンションにしないとな」

俺の頭をポンと触りながら笑う……

「確かに今のマンションは、気に入っているけど、防音がね」

16の時から住んでいるマンションは、そんなに大きくはないが、2LDKで結構住みやすかった。と、言っても、デビューしてからほとんど家に帰らず、事務所で寝泊まりしている。曲を作っているから、家にいられないのだ。それに防音があまり良くなく、隣りの声も聴こえてしまうから……。

「マネージャー、最後だし、今のマンションで引っ越しまで生活してもいい? 」

「いいけど……曲が作れないって嘆いていたのは、Shoだぞ」

「わかってる。でも最後だから今までの思い出を大切にしたいし、引っ越しの準備もしたいから」

「わかった。迎えはマンションに行くからくれぐれも周りの人に見つからないように」

「は~い」

俺は、あのマンションで暮らし始めた。
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